ライフ・イズ・ミラクル
ライフ・イズ・ミラクル
ライフ・イズ・ミラクルを観た人の感想
殺戮のなかの映画
クストリッツァの最高傑作は『アンダーグラウンド』かと思料するが、本作品は泣かせる。
といっても今はやりの「お涙頂戴」とはやはり一線を画すると言うべきか。
ここでは、毎度のスラップスティック張りのドンチャン音楽はむしろ控えめ(これでも)と言ってよく、珍しく特殊撮影なんかも使っていてファンタジー風。ちょっとサービス精神がありすぎると思わせるほどに「ラブ&ファンタジー」が濃いんじゃないか?クストリッツァにしては。と思わせておいて、しかし、この作品で一番思い出したのがアンゲロプロスの『ユリシーズの瞳』であった。
題材の類似もあるにせよ、歴史と人間の織り成す慟哭の極みと言えそうなアンゲロプロスの大傑作と本作では、テイストは全然違うが、視線・スタンスは似通ったものがあると思われるのだ。旧ユーゴの成り立ちやNATOの空爆、民族浄化といった問題については、高木徹の『戦争広告代理店』や『オシムの言葉』が売れた木村元彦『悪者見参・ユーゴスラビアサッカー戦記』といった文庫や、最近のジジェクによる挑発的な新書『人権と国家』にも触れられている。とはいえ、アフリカや中東情勢、さらにアフガニスタン情勢などとともに一般ニッポン人の最も意識が薄いところでもあろう。
当方も然りであって、えらそうなことは言えないが、上記の本やクストリツァの映像などでまず興味を持つことも肝要かと思うしだいである。この作品でも、主人公の息子は有望なサッカー選手として登場するが・・・・。
映画として最高レヴェルであることは請合う。
驚きと煌きの連続である世界
エミール・クストリツァ監督独特の不思議な世界観の中で、人々は常に暴力と過剰な感情表現で画面を満たす。独特のカメラの上下運動は奇妙であるが説得力がある。見える、見えない。現実の世界を覆うのっぺりとしたカバーを無邪気にはがしまくり、人間の生の喜びを抉り出したような作品。失恋し絶望したロバは一生懸命だけれど滑稽だ。というかすべてが滑稽だ。この滑稽さの前には戦争さえもかなわない。
最優秀助演動物賞:ロバ
戦争の悲惨さを愛と笑いで包み込んだ作品というよりも、戦争そのものがそもそも人間のよくある小競り合いにすぎず、家族や恋人の愛やサッカーの試合、ましてや動物の世界にとっては、戦争なんておよそ重大な問題にはなり得ないと笑い飛ばしたような、痛快な作品にみえる。
それにしてもロバがいい。失恋したロバの前に、誰もが立ち止まる。ロバの深い絶望が、交通を遮断し、対立を堰き止め、絶望を希望に昇華させる。
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定価: \3,990 販売価格: \3,990 人気ランキング: 16341位 おすすめ度: 発売日: 2006/04/05 発売元: アミューズソフトエンタテインメント 発送可能時期: 通常24時間以内に発送 |
殺戮のなかの映画クストリッツァの最高傑作は『アンダーグラウンド』かと思料するが、本作品は泣かせる。
といっても今はやりの「お涙頂戴」とはやはり一線を画すると言うべきか。
ここでは、毎度のスラップスティック張りのドンチャン音楽はむしろ控えめ(これでも)と言ってよく、珍しく特殊撮影なんかも使っていてファンタジー風。ちょっとサービス精神がありすぎると思わせるほどに「ラブ&ファンタジー」が濃いんじゃないか?クストリッツァにしては。と思わせておいて、しかし、この作品で一番思い出したのがアンゲロプロスの『ユリシーズの瞳』であった。
題材の類似もあるにせよ、歴史と人間の織り成す慟哭の極みと言えそうなアンゲロプロスの大傑作と本作では、テイストは全然違うが、視線・スタンスは似通ったものがあると思われるのだ。旧ユーゴの成り立ちやNATOの空爆、民族浄化といった問題については、高木徹の『戦争広告代理店』や『オシムの言葉』が売れた木村元彦『悪者見参・ユーゴスラビアサッカー戦記』といった文庫や、最近のジジェクによる挑発的な新書『人権と国家』にも触れられている。とはいえ、アフリカや中東情勢、さらにアフガニスタン情勢などとともに一般ニッポン人の最も意識が薄いところでもあろう。
当方も然りであって、えらそうなことは言えないが、上記の本やクストリツァの映像などでまず興味を持つことも肝要かと思うしだいである。この作品でも、主人公の息子は有望なサッカー選手として登場するが・・・・。
映画として最高レヴェルであることは請合う。
驚きと煌きの連続である世界エミール・クストリツァ監督独特の不思議な世界観の中で、人々は常に暴力と過剰な感情表現で画面を満たす。独特のカメラの上下運動は奇妙であるが説得力がある。見える、見えない。現実の世界を覆うのっぺりとしたカバーを無邪気にはがしまくり、人間の生の喜びを抉り出したような作品。失恋し絶望したロバは一生懸命だけれど滑稽だ。というかすべてが滑稽だ。この滑稽さの前には戦争さえもかなわない。
最優秀助演動物賞:ロバ戦争の悲惨さを愛と笑いで包み込んだ作品というよりも、戦争そのものがそもそも人間のよくある小競り合いにすぎず、家族や恋人の愛やサッカーの試合、ましてや動物の世界にとっては、戦争なんておよそ重大な問題にはなり得ないと笑い飛ばしたような、痛快な作品にみえる。
それにしてもロバがいい。失恋したロバの前に、誰もが立ち止まる。ロバの深い絶望が、交通を遮断し、対立を堰き止め、絶望を希望に昇華させる。