SMOKE
SMOKE
SMOKEを観た人の感想
アメリカでは出せない空白。間と呼ばれるもの。映画編。
ここに出てくる登場人物たちは(嫌いな物言いだけど)いわゆる”負け組”の人間達。
劇中で語られる
”煙にも重さがある”。
そんな風が吹けば消えてしまうような負け組の人間達の人生にも重さって物があるんだ。
と物語のテーマが冒頭で寓話的に語られる。
もちろん”負け組の”本人達はそんな枠組みを”どうでもいいよそんなこと”
と鼻で笑ってしまう強靭さを持ち日々を生きている。
それこそが魂の強さで重さなんだと。
そのテーマを監督は物語で声高に語る事無く
登場人物たちのストーリーを淡々と描く事でそのテーマを滲ませていく。
もちろんラストの『オーギーレンのクリスマス』はすばらしい。
それよりももっと心が鷲掴みにされたシーンがある。
したたかに生きるうち大人びた父親を捜す黒人少年。
彼が感情を爆発させ登場人物たち全員を巻き込んで父親とドタバタの大乱闘になってしまう。
次のシーンは全員が疲れ果て、気まずさからか全員が押し黙って庭のテーブルに座っている。
カメラはその沈黙をずっーと写している。
誰も身動きをとらない。
沈黙が流れる。
ふっと少年が赤子の頭を撫でる。
母親が少年に目をやる。
こういう沈黙の”間”をアメリカ人の監督だったら撮れなかっただろう。
この香港出身のウェインワン。最近の作品はよくわからない物が多いが
この『スモーク』と『ジョイラッククラブ』は傑作。
目は口ほどにものを言い。
映画の冒頭でポール・ベンジャミン(ウイリアム・ハート)が煙の重さを計った男の話をする。彼はその男の行
為を「魂の重さを計るようなもの」だと評する。ニューヨーク、ブルックリンの街角に建つ煙草屋に出入りする
人々。そこにはヒーローもヒロインもいない。特別な使命など持たず日々を私事にかまけ生きている。何も特別
ではない「取るに足らない」人生と内心で自覚する普通の人たちだけれど、それでも一人一人に人生があって、
その時々に幸せと悲しみを抱えてきた。歴史に刻まれもせず時が来れば跡形もなく忘れ去られ、存在したことす
ら曖昧に掻き消されてしまうであろう大多数の人たち。「スモーク」というタイトルに込められているのは、そ
んなありふれた人々の「魂の重さ」のことだと僕は思う。一人一人誰もが備えている重さとは、彼らの人生にの
しかかる愛憎、悲喜こもごもの記憶。それを背負って生きる心の軋みだ。そしてこの映画に描かれるのは、十年
以上にわたり一日も欠かさず同じ時刻同じ街角でカメラのシャッターを切り続け、その記録をアルバムに残して
いる煙草屋の主人と、不幸な事件に巻き込まれて愛妻を失い、以来作品を書いていない作家との友情。大人の男
同士が互いを敬い、相手の心に踏み込まず距離を保ちながらも、惹かれあい理解しあうという、一つの理想型と
も言える他人同士の心地よい連帯である。二人が差し向かいで「クリスマスの話」をするくだりは味わい深い。
「良いことをしたな」と感じ入るように聞いていたポールだが、オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)の口
をついた物語が彼自身によって巧みに脚色されていたことに不意に気付いて「君は(人をかつぐ)大ベテランだ
よ」とほくそ笑む。オーギーはそれに対し「秘密を分かち合えない友達なんて、友達といえるか?」と切り返す。
「確かに。それが生きてることの価値だ」とポールが応じて、二人は互いを見つめ美味そうに煙草をくゆらす。
(ポールはオーギーが語ったままを文章にしたためる。)二人の何とも濃密なやりとりが心地よい。
なにかを失ったときにみてください
この作品にでてくるのは、なにかを失ってしまった人たちばかりです。永遠に失ってしまった人もあれば、取り返すことができるかもしれない人もいます。みんな打ちのめされ、失望しています。
それでも、この作品は「がんばれ」なんて言いません。「がんばらなくても大丈夫。人間てけっこう強いから、それでも生きていけるんだよ」と優しく語りかけてくれます。
まだこの作品をみていない方は、なにかを失ったと思ったときや自分は幸せではないと感じたときにみることをお勧めします。きっと、こんな思いを感じているのは自分だけでないと気づくことができるはずです。
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定価: \3,990 販売価格: \3,990 人気ランキング: 1431位 おすすめ度: 発売日: 2002/03/20 発売元: ポニーキャニオン 発送可能時期: 通常24時間以内に発送 |
アメリカでは出せない空白。間と呼ばれるもの。映画編。ここに出てくる登場人物たちは(嫌いな物言いだけど)いわゆる”負け組”の人間達。
劇中で語られる
”煙にも重さがある”。
そんな風が吹けば消えてしまうような負け組の人間達の人生にも重さって物があるんだ。
と物語のテーマが冒頭で寓話的に語られる。
もちろん”負け組の”本人達はそんな枠組みを”どうでもいいよそんなこと”
と鼻で笑ってしまう強靭さを持ち日々を生きている。
それこそが魂の強さで重さなんだと。
そのテーマを監督は物語で声高に語る事無く
登場人物たちのストーリーを淡々と描く事でそのテーマを滲ませていく。
もちろんラストの『オーギーレンのクリスマス』はすばらしい。
それよりももっと心が鷲掴みにされたシーンがある。
したたかに生きるうち大人びた父親を捜す黒人少年。
彼が感情を爆発させ登場人物たち全員を巻き込んで父親とドタバタの大乱闘になってしまう。
次のシーンは全員が疲れ果て、気まずさからか全員が押し黙って庭のテーブルに座っている。
カメラはその沈黙をずっーと写している。
誰も身動きをとらない。
沈黙が流れる。
ふっと少年が赤子の頭を撫でる。
母親が少年に目をやる。
こういう沈黙の”間”をアメリカ人の監督だったら撮れなかっただろう。
この香港出身のウェインワン。最近の作品はよくわからない物が多いが
この『スモーク』と『ジョイラッククラブ』は傑作。
目は口ほどにものを言い。映画の冒頭でポール・ベンジャミン(ウイリアム・ハート)が煙の重さを計った男の話をする。彼はその男の行
為を「魂の重さを計るようなもの」だと評する。ニューヨーク、ブルックリンの街角に建つ煙草屋に出入りする
人々。そこにはヒーローもヒロインもいない。特別な使命など持たず日々を私事にかまけ生きている。何も特別
ではない「取るに足らない」人生と内心で自覚する普通の人たちだけれど、それでも一人一人に人生があって、
その時々に幸せと悲しみを抱えてきた。歴史に刻まれもせず時が来れば跡形もなく忘れ去られ、存在したことす
ら曖昧に掻き消されてしまうであろう大多数の人たち。「スモーク」というタイトルに込められているのは、そ
んなありふれた人々の「魂の重さ」のことだと僕は思う。一人一人誰もが備えている重さとは、彼らの人生にの
しかかる愛憎、悲喜こもごもの記憶。それを背負って生きる心の軋みだ。そしてこの映画に描かれるのは、十年
以上にわたり一日も欠かさず同じ時刻同じ街角でカメラのシャッターを切り続け、その記録をアルバムに残して
いる煙草屋の主人と、不幸な事件に巻き込まれて愛妻を失い、以来作品を書いていない作家との友情。大人の男
同士が互いを敬い、相手の心に踏み込まず距離を保ちながらも、惹かれあい理解しあうという、一つの理想型と
も言える他人同士の心地よい連帯である。二人が差し向かいで「クリスマスの話」をするくだりは味わい深い。
「良いことをしたな」と感じ入るように聞いていたポールだが、オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)の口
をついた物語が彼自身によって巧みに脚色されていたことに不意に気付いて「君は(人をかつぐ)大ベテランだ
よ」とほくそ笑む。オーギーはそれに対し「秘密を分かち合えない友達なんて、友達といえるか?」と切り返す。
「確かに。それが生きてることの価値だ」とポールが応じて、二人は互いを見つめ美味そうに煙草をくゆらす。
(ポールはオーギーが語ったままを文章にしたためる。)二人の何とも濃密なやりとりが心地よい。
なにかを失ったときにみてくださいこの作品にでてくるのは、なにかを失ってしまった人たちばかりです。永遠に失ってしまった人もあれば、取り返すことができるかもしれない人もいます。みんな打ちのめされ、失望しています。
それでも、この作品は「がんばれ」なんて言いません。「がんばらなくても大丈夫。人間てけっこう強いから、それでも生きていけるんだよ」と優しく語りかけてくれます。
まだこの作品をみていない方は、なにかを失ったと思ったときや自分は幸せではないと感じたときにみることをお勧めします。きっと、こんな思いを感じているのは自分だけでないと気づくことができるはずです。