地獄の黙示録 特別完全版
地獄の黙示録 特別完全版
地獄の黙示録 特別完全版を観た人の感想
嗚呼、不条理。
背景をベトナム戦争とする「戦場」を一部切り取り、エンターテイメントの要素を加えている。
戦場における欺瞞と、他者を理解する姿勢の欠如、恐怖からなる過剰な殺戮の不条理、
そして「殺す人間」が「愛する人間」を併せ持つ、戦場における分裂した心理を巧みに描いている。
米国の「他者を見下す視点」から抜け出せていないところが、製作者の限界なのだろうか。
それとも、この視点で描かなければ、心がつかめないような国民性なのだろうか。疑問が残る。
個人的には、「戦場における欺瞞」について、もう少し深く掘り下げてもらいたかった感がある。
人間の自由を主題にした、深くキリスト教的な作品
この映画は、ベトナム戦争をテーマにした映画ではない。ベトナム戦争は、この映画の背景に過ぎない。この映画が公開された当時、「この映画(『地獄の黙示録』)には、ベトナム人の視点が無い」と言った類の批判が散見されたが、そうした批判は、この作品の真のテーマが、ベトナム戦争を描く事ではなかった事を指摘した点では、当たって居たとも言へる。??この映画に「ベトナム人の視点が無い」と言ふ批判に対しては、公開当時、フランシス・フォード=コッポラ監督が自ら述べた「それは、ベトナム人の監督がやるべき事だ。」と言ふ反論で十分であるが。
この映画のテーマは、戦争ではなく、人間の自由の問題である。即ち、軍の命令によって、カーツ大佐を殺しに、川を上る主人公が、自分がこれから行なおうとする殺人の正しさを自問し、最後に実行するまでの精神的過程が、この映画のテーマなのである。人間は自由であるが故に、善を行なふ事も、悪を行なふ事も出来る。主人公が、人間に与えられたその自由を意識し、自由の重みに苦悩する姿こそが、この映画の主題であり、それは、極めてキリスト教的なテーマであると、私は思ふ。(「ベトナム戦争」と言ふキーワードに捉われ過ぎると、この映画のこうした真の主題が見えなく成ると、私は思ふ)
余談であるが、この映画の撮影が始まる際、フランシス・フォード=コッポラ監督が、小林正樹監督の傑作『切腹』で撮影を担当した宮島義勇氏に撮影を依頼したものの、宮島氏が、「自分は日本の共産主義者だから」と言ふ理由でその依頼を断ったと言ふ逸話は興味深い。宮島義勇氏のファンである私としては、残念でならない話である。
(西岡昌紀・内科医)
20世紀の映画史に残る大作
ベトナム戦争を題材・舞台としているが、この戦争についてを描くことは目的とはしていないと感じた。ベトナム戦争を通じ、人間の歴史で繰り返されてきた嘘や欺瞞を描いた哲学的な作品。
ベトナム反戦作品の意図も当初は有ったのかも知れないが、ラストに至るまでの後半部やラストシーンは、歴史に対する普遍的なメッセージだと思う。
ハリウッド映画ではあるが、好戦的な戦闘シーンや過剰なヒロイズムを前面に押し出したエンタテインメント作品と同列にして観ると、後半の難解さは退屈なものとなるだろう。
本作品そのものの解説と背景、加えてオリジナル作品との差異分析は、立花隆氏の『解読「地獄の黙示録」』に詳しいので、これを読んだ上で観ることをあえてお勧めします。
ただし、ベトコンやアジア人を虫けらのようにしか描けていないのは、アメリカ映画故の限界だろう。しかし作品の主題を考えれば特に問題ではないと思う。
今まで何度も観てきたが、今後も何度でも観たくなる映画である。
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定価: \4,935 販売価格: \3,860 人気ランキング: 6685位 おすすめ度: 発売日: 2002/07/25 発売元: ジェネオン エンタテインメント 発送可能時期: 通常24時間以内に発送 |
嗚呼、不条理。背景をベトナム戦争とする「戦場」を一部切り取り、エンターテイメントの要素を加えている。
戦場における欺瞞と、他者を理解する姿勢の欠如、恐怖からなる過剰な殺戮の不条理、
そして「殺す人間」が「愛する人間」を併せ持つ、戦場における分裂した心理を巧みに描いている。
米国の「他者を見下す視点」から抜け出せていないところが、製作者の限界なのだろうか。
それとも、この視点で描かなければ、心がつかめないような国民性なのだろうか。疑問が残る。
個人的には、「戦場における欺瞞」について、もう少し深く掘り下げてもらいたかった感がある。
人間の自由を主題にした、深くキリスト教的な作品この映画は、ベトナム戦争をテーマにした映画ではない。ベトナム戦争は、この映画の背景に過ぎない。この映画が公開された当時、「この映画(『地獄の黙示録』)には、ベトナム人の視点が無い」と言った類の批判が散見されたが、そうした批判は、この作品の真のテーマが、ベトナム戦争を描く事ではなかった事を指摘した点では、当たって居たとも言へる。??この映画に「ベトナム人の視点が無い」と言ふ批判に対しては、公開当時、フランシス・フォード=コッポラ監督が自ら述べた「それは、ベトナム人の監督がやるべき事だ。」と言ふ反論で十分であるが。
この映画のテーマは、戦争ではなく、人間の自由の問題である。即ち、軍の命令によって、カーツ大佐を殺しに、川を上る主人公が、自分がこれから行なおうとする殺人の正しさを自問し、最後に実行するまでの精神的過程が、この映画のテーマなのである。人間は自由であるが故に、善を行なふ事も、悪を行なふ事も出来る。主人公が、人間に与えられたその自由を意識し、自由の重みに苦悩する姿こそが、この映画の主題であり、それは、極めてキリスト教的なテーマであると、私は思ふ。(「ベトナム戦争」と言ふキーワードに捉われ過ぎると、この映画のこうした真の主題が見えなく成ると、私は思ふ)
余談であるが、この映画の撮影が始まる際、フランシス・フォード=コッポラ監督が、小林正樹監督の傑作『切腹』で撮影を担当した宮島義勇氏に撮影を依頼したものの、宮島氏が、「自分は日本の共産主義者だから」と言ふ理由でその依頼を断ったと言ふ逸話は興味深い。宮島義勇氏のファンである私としては、残念でならない話である。
(西岡昌紀・内科医)
20世紀の映画史に残る大作ベトナム戦争を題材・舞台としているが、この戦争についてを描くことは目的とはしていないと感じた。ベトナム戦争を通じ、人間の歴史で繰り返されてきた嘘や欺瞞を描いた哲学的な作品。
ベトナム反戦作品の意図も当初は有ったのかも知れないが、ラストに至るまでの後半部やラストシーンは、歴史に対する普遍的なメッセージだと思う。
ハリウッド映画ではあるが、好戦的な戦闘シーンや過剰なヒロイズムを前面に押し出したエンタテインメント作品と同列にして観ると、後半の難解さは退屈なものとなるだろう。
本作品そのものの解説と背景、加えてオリジナル作品との差異分析は、立花隆氏の『解読「地獄の黙示録」』に詳しいので、これを読んだ上で観ることをあえてお勧めします。
ただし、ベトコンやアジア人を虫けらのようにしか描けていないのは、アメリカ映画故の限界だろう。しかし作品の主題を考えれば特に問題ではないと思う。
今まで何度も観てきたが、今後も何度でも観たくなる映画である。